1 桃を被った桃太郎

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昭治さんと栄太くん、わたしの三人は幼い頃からの付き合いだった。 いつも三人一緒で。 それはわたしと昭治さんが夫婦になっても、変わらない友情だった。 その穏やかな日々は、毎月満月の夜にやってくる奴らによって崩されてしまった。  『ぅぅぅ……栄太……栄太ぁぁぁ』  『何も言わなくて結構です。辛かったですよね』 男泣きに泣く昭治さんの背中を、わたしはただ撫でて宥める事しか出来なかった。 いつも一緒だった幼馴染が、奴らに目の前で胸を引き裂かれてしまったのだ。  『時子、ハチマキをこさえてくれんか?日の丸を背負った覚悟のハチマキじゃ』 栄太くんの仇打ちに行く前の晩、夫に頼まれ作ったハチマキ。 今も大切に取ってある。  『おいおい?なぜ桃なんじゃ?』  『それは桃じゃありませんよ。『ハート』という愛情を表現した模様です。』
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