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昭治さんと栄太くん、わたしの三人は幼い頃からの付き合いだった。
いつも三人一緒で。
それはわたしと昭治さんが夫婦になっても、変わらない友情だった。
その穏やかな日々は、毎月満月の夜にやってくる奴らによって崩されてしまった。
『ぅぅぅ……栄太……栄太ぁぁぁ』
『何も言わなくて結構です。辛かったですよね』
男泣きに泣く昭治さんの背中を、わたしはただ撫でて宥める事しか出来なかった。
いつも一緒だった幼馴染が、奴らに目の前で胸を引き裂かれてしまったのだ。
『時子、ハチマキをこさえてくれんか?日の丸を背負った覚悟のハチマキじゃ』
栄太くんの仇打ちに行く前の晩、夫に頼まれ作ったハチマキ。
今も大切に取ってある。
『おいおい?なぜ桃なんじゃ?』
『それは桃じゃありませんよ。『ハート』という愛情を表現した模様です。』
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