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太郎が来てからは。
また以前のように、日に何度も水を汲みに行かなければならなくなってしまった。
なぜなら。
太郎は、霊水で作った料理しか受け付けないからだ。
「いこ。ばぁば」
「はい、行きましょう」
いつの間にか、わたしの手を引き歩くようになった太郎を見て。
水を汲みに行く事なんて少しも、苦には思わなかった。
村人さえ知らない獣道を、ひたすら上へと突き進む。
「太郎、山で迷ったらお空を見なさいね」
「そら?」
「そう。空を見ながら上に登るの。下っては駄目よ」
山に入りながら、道々太郎に色んな事を教えてゆく。
「これはたべられる?」
「それは駄目ね。よく似ているけど、毒があるわ」
草や木の実、キノコに至るまであらゆる知識を伝えてゆく。
いつか、ひとりでも生きていけるように。
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