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わたしももう若くは無い。
いつまで太郎の傍にいてやれるか、分からない。
それに、ずっとわたしの袖の下に隠れてばかりいては、太郎の為にならない。
生きて行くためには、外に出なくては。
人は一人では生きていけないのだから・・・
「ねえ、ウチの太郎も遊びに混ぜてくれないかしら?」
遊んでる村の子供たちに声を掛けるけれど、
「いやだよ。だって化け物だもん」
「気持ち悪いよねえ、桃の頭なんて」
そう言って、誰も遊んでくれようとはしなかった。
「少しみんなとは違うけれど、太郎は心の優しい良い子なのよ?」
「少しじゃないじゃん」
そうだそうだと、みんなが口々に言う。
彼らの目線に合わせてしゃがみこみ、しっかりと見つめて口を開く。
「あのね、みんなそれぞれ人とはどこか違うものなの。でもね、それは悪い事ではないのよ?」
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