1 桃を被った桃太郎

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わたしももう若くは無い。 いつまで太郎の傍にいてやれるか、分からない。 それに、ずっとわたしの袖の下に隠れてばかりいては、太郎の為にならない。 生きて行くためには、外に出なくては。 人は一人では生きていけないのだから・・・ 「ねえ、ウチの太郎も遊びに混ぜてくれないかしら?」 遊んでる村の子供たちに声を掛けるけれど、 「いやだよ。だって化け物だもん」 「気持ち悪いよねえ、桃の頭なんて」 そう言って、誰も遊んでくれようとはしなかった。 「少しみんなとは違うけれど、太郎は心の優しい良い子なのよ?」 「少しじゃないじゃん」 そうだそうだと、みんなが口々に言う。 彼らの目線に合わせてしゃがみこみ、しっかりと見つめて口を開く。 「あのね、みんなそれぞれ人とはどこか違うものなの。でもね、それは悪い事ではないのよ?」
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