寄りかかりたいのは

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夏希は、満面の笑顔のまま「私も」とうなずいた。 気付けば、雨はやんでいた。 柳の枝の葉についた一つ一つの雫が太陽の光を反射して輝く。その光景をオレは、この先ずっと忘れないだろうと思った。 柳に棘は無い。 風に揺れるのは、葉。 花よりも美しい、葉。 柳は自己主張をしない木。 ただただ佇む。 柳は誰も信じなかった。 誰よりも不安定なのに、誰にも寄りかからなかった。 寄りかかったものがいつ消えてしまうのかが怖くて。 でもね、やっと柳も見つけることができた。 安心できて、信じることが出来るヒトを。
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