第1章     ほんの幾ばくかの救い・・・

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そこに私が感じ取ったことがある。 それはほんの少しだったけれど、 今日子は「図星過ぎたかな」という空気を持っていたことだ。 少し静かな時間に身を置いた時、 今日子は多少なりとも「しまった」という雰囲気を漂わせたのであった。 つまり、「ちょっと言い過ぎたかな」 「姉ちゃんにはあまりにショックなことだったかな」 ということである。 一瞬でそれは本当に僅かなもので、 見逃すことの方が容易だったものだが、 そんな空気がそこにあったことを私は感じていた。 私にはそれが救いだった。 まだしもの、 せめてもの、 それは私にとってかすかな救いだったのである。
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