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遠い親戚だというおじさんの家に行くことが決まったのは、母の提案だった。
母の従兄弟の従姉妹の従兄弟? とかなんとか。
正直、ほとんど他人と言っていいような相手だけに、会いに行くのも、その理由も気乗りしてない。
でもわたしには時間が限られていた。
迷う時間が惜しいほどに。
ちょうど学校は冬休みに入ったばかり。
受験勉強に本格的に取り組み始める高二の貴重な時間。
それでも、この二週間のうちに、どうしてもこの忌々しい『呪い』をとかなければいけない。
母に渡された地図を頼りに辿りついたのは、コンクリートむき出しの外壁をした細長いマンション。
繁華街に立つその建物は、お世辞にも綺麗とはいいがたい。
左側にある煉瓦調のマンションはまだ新しくとてもおしゃれなんだけどな。
実はこっちだったらいいな、と期待をこめて、何度も地図に書かれたマンション名を見直したけど、間違いはないみたい。
右側にはインドカレーの店があり、中からインド人の男性店員がわたしをじっと見ていた。
いや、じっとっていうか、凝視?
怖いんだけど。
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