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いや、嘆くのはよそう。
雄しべも雌しべも、等しくサフランの一部であり、大切なものなのだから。
雌しべを珍重するのであれば、できれば風味の落ちぬうちに味わって欲しいとサフランは思う。
紫の花が咲いたら、赤い雌しべを速やかに抜き取っていただきたい。
赤くひょろーんとしたそれを、キッチンペーパーの上などに置き、日陰で乾燥させて欲しい。
乾燥すると余計に赤い糸くずのようにひょろーんとしたものになるが、風などに飛ばさないで欲しい。
乾いたら、素早く保存容器に入れて、風味が落ちる前に使って欲しい。
我らサフランは古来から人間と共に歩んできた。
土の中は退屈だが、掘り起こして貰った後の世界は大好きだ。
末永く、共に生きたい。
紫の花にはキッチリ三本、赤い雌しべが付いている。
キッチリ三本、収穫して使って欲しい。
香辛料として料理に使ってくれても良いし、薬用効果もあるから生薬としても使えるのたから。
月経不順や更年期障害、子供の咳などに効果があるというが、婦人病を予防する効果だけでなく、記憶障害を改善する効果もある。
女性ホルモンの分泌を促し、鎮静作用と抗酸化作用でPMSを緩和し、うつ病にも効果を期待して貰えるのだ、我々サフランは。
小さな紫の花で心を癒し、赤くてひょろーんとした雌しべで体を癒すことができるのだ。
人間よ、これから先の未来も共に歩もう。
秋には、我らサフランで窓辺を紫に変えておくれ。
手間はかけない。
部屋に置いておいてくれるだけで、我らは芽吹き、茎を伸ばして、花を咲かせるから。
花は咲いたら、あっという間に枯れる。
でも、嘆かないで欲しい。
土に植えて、たっぷりの肥料を与えてくれれば、我らは来年も咲く。
上手くいけば、球根も増やそう。
そして、来年も時期が来たら掘り起こし、また戻して欲しい。
この窓辺に。
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