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視線を一瞬だけ走らせると、その中に形影の白い横顔が見える。
(やった、居なくなった)
些細な喜びを感じながら、風使は無意識にポケットの中身をいじっている自分に気付いた。
かさり。
微かな音にハッとして、指先の動きを止める。
(そう、何から話そうか。今日は不意討ちみたいな訪問だから、余り妙な事から言う訳にはいかないよな)
週一。
毎週、木曜日の訪問。
頭の中で、どんな話題から持って行こうかとピックアップし始める。
ポケットから覗く、白い紙袋。その色に形影の肌を重ね合わせ、それからダイダイの肌の方がずっと綺麗だと思う。同じ白い肌でも彼女の方がしっとりと透明感が有り美しいと。
指先で無意識に弄んでいた袋を、ジーンズから引っ張り出し中身を確認する。
細い銀線と、控えめな薄い紫の石のブローチ。
(気に入ってくれると良いけど)
期待多め、不安少々の入り交じる複雑な心境で風使は目的の駅までを過ごした。
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