第11話 挿話1「文芸部員を紹介します」

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 鷹子先輩は、そんな感じで、「メディアを持ってこい」とか、「読み終わった雑誌を持ってこい」とか、「プレイし終わったゲームを持ってこい」とか、カツアゲまがいのことをよくします。そして、部室で僕に「気を付け」をさせて、そういったコンテンツの感想を述べさせます。  いったい、どんないじめなんだろう。まあ、熱心に聞いて、感心しているようなので、僕もがんばって述べさせてもらいますけど。  そういった感じで、鷹子さんは、なぜか僕に辛く当たる人なんです。謎で謎で仕方がないです。  三年生の最後は、「城ヶ崎満子」部長です。この人は、そのあだ名がすべてを物語っています。ザ・タブー。そういった名前で、先生にも恐れられています。父親がエロマンガ家で、母親がレディースコミック作家という、サラブレッドな家系のお方です。僕なんかでは太刀打ちできないような、英才教育を受けています。そして、この人は、どうも真正のSの人っぽいです。僕を、ちくちくといじっては、嬉しそうにしています。受難です。困ります。はあっ。そう思っていたら、満子部長が、僕のところにやって来ました。 「サカキ」 「何ですか満子部長」 「文芸部の活動資金を稼ごうと思ってな。一計を案じたのだよ」 「部費が足りないのですか?」 「ああ、私が使い込んだ」 「ちょっと先輩。それ、自分で補てんしてくださいよ!」 「いろいろと、資料の本を買っているだろう。禁書とか。サカキも読んでいるだろうが」 「うっ」  満子部長が、禁書と呼んでいるのは、いわゆる大人の表現のサンプルが記載された書籍のことです。K能小説とかですね。先輩は、エロエリートとして、それらの表現を自分の作品に活かすために、日夜研究しているのです。それは、ある意味、学術的な研究と言えるレベルだそうです。論文だって、書いています。大学教授からは、「院の卒論レベルはすでに到達している」とお墨付きをもらっている実力派です。  その学術的資料を、僕はお借りして、いろいろとモニョったりしているわけです。 「仕方がないですね。僕は何をすればいいんですか?」 「エロSSを書け」 「ちょ、ちょっと、声が大きいですよ!」
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