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いや、その瞳は本物だったらしく、ギョロリと動いてクレゼントとガルンを見つめた。
書物に浮かぶ魔眼。
「我が身体を千眼の魔神に捧げ立て奉る! その力で世界に断罪の裁きを与えたまえ!」
クレゼントは叫ぶと自らの両目をえぐり取った。
鮮血が魔導書に降り注ぐ。
すると本が勝手に開き、ページがめくれ出す。
ある程度すると、ページはピタリと止まった。
ブランクページだ。
そこにえぐった両目を叩き付けると、両目はスルリと紙の中に沈み込んだ。
一瞬でページに瞳が書き込まれて、神代文字のようなものが立ち並ぶ。
ガルンはこの男が、魔人達を造り上げた張本人だと直感で理解した。
文字の羅列が本から飛び出すと、クレゼントの身体を包み込む。そして、一瞬でその姿は魔導書に飲み込まれた。
「……!」
ガルンが停滞していたのは一瞬だ。
直ぐさま魔剣を振り下ろす。
青い炎が魔導書を飲み込む。いや、飲み込んだのは“魔導書の方”だった。
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