第十三章 忌み子の姫 終詞

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 いや、その瞳は本物だったらしく、ギョロリと動いてクレゼントとガルンを見つめた。  書物に浮かぶ魔眼。 「我が身体を千眼の魔神に捧げ立て奉る! その力で世界に断罪の裁きを与えたまえ!」  クレゼントは叫ぶと自らの両目をえぐり取った。  鮮血が魔導書に降り注ぐ。    すると本が勝手に開き、ページがめくれ出す。  ある程度すると、ページはピタリと止まった。  ブランクページだ。  そこにえぐった両目を叩き付けると、両目はスルリと紙の中に沈み込んだ。  一瞬でページに瞳が書き込まれて、神代文字のようなものが立ち並ぶ。  ガルンはこの男が、魔人達を造り上げた張本人だと直感で理解した。  文字の羅列が本から飛び出すと、クレゼントの身体を包み込む。そして、一瞬でその姿は魔導書に飲み込まれた。 「……!」  ガルンが停滞していたのは一瞬だ。  直ぐさま魔剣を振り下ろす。  青い炎が魔導書を飲み込む。いや、飲み込んだのは“魔導書の方”だった。
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