第一章 死者の生還

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 木造二階立ての家から西に向かって走り出す。  開いた道の周りには針葉樹林が立ち並び、夏になればここぞとばかりに生い茂る。  それでも、寒波などを防いでくれる有り難い存在なので無碍には出来ない。    道を走っていると、少し離れたお隣に住む爺さんが手を振っているのが見えた。 「とうとう降って来やがった。今のうちに家の自家菜園(ダーチャ)から野菜もってけ!」 「分かったラナド爺さん! 変わりに後で姉さんのジャムを持ってくよ!」  手を振りながら道を駆け抜ける。  険しい山々の上り下りや狩りで培った健脚により、十に満たない少年が大人顔負けの速さを身につけているのは、この地方でも珍しい才能と言えよう。  小一時間で川に到着すると、仕掛けた魚捕りようの罠を全て開けていく。  冬になって川の表層が凍る場合もあるので、罠は全て取り外すか、ダメになる覚悟で放置するしかない。 「良し!」  ガルンは罠にかかっている魚を見て満面の笑みを浮かべた。  予想より罠にかかった数が多い。  これなら周りの家に何匹か配れる量だ。   
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