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一通りの荷物をしまった頃には、姉の料理がテーブルに並んでいた。
野菜のパン包みに川魚のスープ、ロールキャベツに水餃子、ジャム紅茶が並んでいる。
ガルンが舌なめずりをしていると、遠くで何かの遠吠えのようなものが聞こえた。
静まり返った雪夜には、外の音も良く通る。
「何かしら今の声?」
「声? 動物の鳴き声みたいに聞こえたけど?」
二人は一緒に窓に向かうと外の様子を窺う。
雪が深々と降る中、遠くに何やら光が揺らめいて見える。
始めは家明かりと思ったが、やたらと明かりが多い。
そして、それに混ざって再び鳴き声のような声が響く。
「何だ? 何か様子がおかしい?」
今度は近くで明かりが灯った。
不思議に思ってよくよく見ると、明かりに見えたのは揺らめく炎であった。
「えっ? あれってラナド爺さん家じゃ」
隣の家から火の手が上がっていた。
渇いた空気に木造が燃える焦げ臭い匂いが運ばれてくる。
二人はその異常な光景に凍りついた。
遠くに見える灯りらしきものは、全て見知った家々の位置だと気がついたからだ。
「えっ? 火事ってこと?」
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