第十三章 忌み子の姫 終詞

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 横幅は十メートル。高さはそれより上だろう。  天井には等間隔に、微妙に回転する光を放つ青い球体があり、それによって回廊はある程度明るい。  問題は左右に立ち並ぶ、柱の羅列である。  それのおかげで、通路には影が満ちている。  制止眼の影魔神にとっては、格好の狩場であろう。  ゼロは流れ出る血を眺めてから、ガルンに視線を移した。 「こいつは我が片付ける……と言いたい所だが、能力制限されている今の我では無理だ。“制止眼”だけは対応出来ない。アレは我の邪眼より強力な魔眼だ。アレを封殺するにはラナンキュラスが必要になる」 「三人で倒すか?」 「いや……姫の状態が気掛かりだ。お前は先に行け」  ゼロは顎で先を示す。  遥か前方には大扉が見えた。 「姫への恩義。命で返せ」 「了解だ」  ガルンは脚力にチャクラを回す。回転率の低さが気掛かりだが、今はそんな事にこだわっている時では無い。  ガルンは一陣の風となって走り出した。
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