第十三章 忌み子の姫 終詞

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 魔剣の炎が揺らぐ。  ガルンは歯を食いしばって一刀を叩き付けた。  肩口から胸まで人面相ごと切り裂き、赤い炎がローブを飲み込む。 「くっくっ、この程度の炎など効かんぞ」  燃え盛る炎の中でを腕を上げる。  火だるまに成りながらもクレゼントは薄く笑った。 「ナウマク・サウマンダ・ボダナン・オン・ゾロン・クウカシャラ・ビギジナン・ヒドゥン」  クレゼントの元に、階下から無数の幽気が上がって来るのが分かる。  死霊、悪霊、怨霊の塊。  呼び方は様々だか、それが魂魄に近いものなのは間違い無い。  ガルンは背筋に走る寒気で鳥肌が立った。  この下にあるものにようやく気がついたのである。  儀式の為に集められた、大量の人々。  この死霊の数で考えれば、下にあるのは大量の死体の山だろう。  単位は数百。  間違えれば千に届く。 「このクソ外道が!」  ガルンはダークブレイズを振りかぶろうとして、腕が動かない事に気が付いた。  愕然と身体に纏わり付く死霊の山に驚く。
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