第十三章 忌み子の姫 終詞

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 焼け爛れた皮膚が、急速に再生していくのが見て取れて、ガルンは目を見張った。 「沈め。“罪縛蓮獄(ざいばくれんごく)”」  クレゼントの声が響くと、ガルンの足元に闇が拡がる。 「?!」  身体に纏わり付く死霊が、そこにガルンを引き込み始めた。  身体を縛り付ける死霊の数はぞくぞくと増え続けていく。  闇に足が沈む。 「ふざけやがっ……て」  チャクラを強制的に練り上げる。対抗する為には霊的クラスの攻防能力を上げるしかない。  ガルンの身体が微妙に震え始める。  死霊が次々に砕け散っていくのを見て、クレゼントは、 「ほう」 と、呟いた。 「対霊能力持ちとは。ならば……」  クレゼントは印とマントラを素早く唱えると、両手をガルンに向けた。掌に人面相が現れる。  その口が大きく開かれると、黒い楔が迫り出す。 「ここまでだな」  撃ち出された楔は、満足に動けないガルンの右胸と腹部に突き刺さった。  激痛が精神集中を崩す。
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