第十三章 忌み子の姫 終詞

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 チャクラの回転率が急速に低下するのが分かる。  刺さった楔から霊気が抜け落ちていく。 (この楔……。ただの武器じゃ……な……い)  ガルンの身体は一気に闇に沈み始めた。  ダークブレイズの炎も消え去る。 「その呪具は対霊儀器だ。貴様には過ぎた葬送品と言える、有り難く受け取るが良い」 「干物野郎……が……」  ガルンはそう呟くと闇に飲み込まれた。  クレゼントは床の闇が消えるのを確認してから、遥か前方にいるゼロとラナンキュラスに視線を向ける。 「あの出血ではあの女は死ぬだろう……。一人になれば後は時間の問題。こちらはゆるりと儀式を執り行うとしよう」  そう呟くと、クレゼントは姫のいる部屋へと足を運ぶ。  遥か後方でも、ラナンキュラスは気の探知でガルンの消失に気がついていた。 「おいおい、あの坊主やられちまったぞ」  周りを注意しながら苦笑いを浮かべる。  それはゼロも察していたが、こちらは無言だ。
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