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もともと色白だが、今では顔面蒼白で明らかに血を失い過ぎている。
五メートル四方に広がる血は完全に致死量にしか見えない。
「まさか、お前もくたばるとかは言ってくれるなよ? 流石に俺一人では骨が折れる」
ラナンキュラスの言葉にゼロは皮肉じみた笑みを零した。
唇が釣り上がる。
何故か唇の赤い色だけが、浮いている様に見えた。
「これはわざとだ。これは蜘蛛の糸」
「蜘蛛の糸?」
ラナンキュラスが疑問の声を発した時だった。
ザワリと血が微かに振動する。
数コンマゼロ秒。
それをゼロだけは感知していた。
「かかった」
影から飛び出した触手に、“真下から”血が飛び上がり纏わり付く。
それは液体金属の用に硬化して固まった。
先に釣り上げようとして解かれた布とは分けが違う。
「引っ張り上げるぞ! ラナンキュラスア!」
ゼロは大声で叫ぶと床に、いや、血の上に掌をつける。
血がまるで穴に流れ込むように、蠍の尾が出ている影に吸い込まれていく。
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