第十三章 忌み子の姫 終詞

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「何とかぶっ倒したが……最後には坊主を倒した、あの妖怪ジジィがいるぞ。何だあれは? お前のお仲間か? 坊主に斬られて丸焼きにしても死なないんじゃ、俺では到底殺しきれないぞ?」  ラナンキュラスの質問には答えず、ゼロは何故か視線を下に向けたままだ。  釣られてそちらの床に目を向ける。 「まだ、他に影野郎がいるんじゃ無いだろうな?」 「いや……影にはもう誰もいない。いるのは更に下だ」 「?」  ゼロは床ではなく、さらにその下を見つめているようだった。  その遥か階下を。  そのまま、ゆっくりと立ち上がる。 「化けるか……死ぬかは貴様次第だ」  ボソリと呟くと先の門を見つめる。 「奴は自らアンデット化した怨霊使い《コンジュラー》だ。気を抜くと死ぬぞ」  ゼロはそう宣言して歩き出した。        ◇  混濁した意識を始めに刺激したのは臭いだった。  吐き気を催す程の血臭。  頭が重い。  体に力が入らない。  体中に鉛を仕込まれたような経験は一度ある。  雪山で死にかけていた時と同じだ。
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