第十三章 忌み子の姫 終詞

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 ジワリと血が溢れ出すのを感じた。 (焦るな。ゆっくりでいい)  チャクラが活性化して行くのを感じる。  全てのチャクラをリンクさせて回転率を上げていく。  胸部と腹部のエーテル治療に入る。    傷口だけはなんとしても塞がねばならない。  最悪、ダークブレイズの炎で傷口を焼いて閉じる事を想定する。  ただ寝そべっていると何かの音が聞こえた。  耳に意識を集中する。  それが、か細いうめき声だと理解するのには一分はかかった。  目の前に青白い光りが見え始める。一つ、二つとどんどんその数は増えて行く。  暗闇に溢れ返る光の量は、まるで夜空の星のように瞬き出した。 (……? 違うここは暗闇だ。見えているのは精霊の眼の方だ)  意識を集中させる。  存在の光が、全て人の形に見え出した。  幼い子供から老人。  種族を選ばず、老若男女異種族がまるで祭でも開催されるかのように立ち並ぶ。  だが……。  全員が全員啜り泣いている。  そのうちの何人かは、急に泣き声が恩讐の呻きに変わった。
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