第十三章 忌み子の姫 終詞

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 存在の光が黒く濁っていく。それは姿形も幽鬼のように変貌しだした。  それは、ガルンを闇に引きずり込んだ悪霊そのものに見える。 (まさか……ここは)  ガルンは眼を元に戻した。  通常の瞳に見える風景は闇だけだ。  深呼吸して、何とか気合いを入れる。  精神力をゆっくりとダークブレイズに注ぎ込む。  すると魔剣に小さな炎が燈った。  弱々しい光は直ぐにも消え去りそうだが、松明代わりにするには十分だろう。  ガルンは顔を傾ける。  光に照らし出された光景に絶句した。  始めは荊の山かと思った。  赤い刺が大量に飛び出し、視界一面をそれが覆っていると。  だが違う。  それは、よくよく見ると“人のパーツ”をしていた。  手や足、頭も全てバラバラ。  手足や胴体のあちこちから突出した骨の部位が、荊の刺の様に感じたのだ。  骨に肉がついているのか、肉体を押し潰されて骨が突出してしまったのか、どちらが先かは分からない。  無造作に食い散らかされたコヨーテの食べ滓のような外観。
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