第十三章 忌み子の姫 終詞

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 慈悲ど慈愛に満ちた視線にクレゼントは、殆ど分泌しない生唾を飲み込んだ。  失った罪悪感が沸々と蘇ってくる気がする。 「何をおっしゃる。私は国を見続ける為に、人間も辞めました。不死族でも最高位存在“ヘルハデス”にクラスチェンジしています。粉骨砕身、猊下の為に働きまする」  にんまり笑う顔は好々爺のつもりらしいが、干からびた骸骨の様な顔では、赤子を貪る餓鬼の顔にしか見えない。 「ハイ・アンデットが統べる神の国。それはそれで面白いかも知れぬ……。しかし、それも残念ながら叶わぬ。わらわの騎士が来るのでな。お主を滅ぼすために地獄の底から……顕れる」  パリキスの言葉に答えるように扉が開け放たれた。  ゼロとラナンキュラスが颯爽と姿を表す。 「姫! お助けに参りました!」 「うは、何だこの部屋は?」  二人の登場にクレゼントは口惜しそうに歯軋りを始めた。  悪鬼羅刹のような表情は、干からひだ顔には似合っている。 「どいつもこいつも! このコバエどもが沸いてきおって!」
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