第十三章 忌み子の姫 終詞

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 クレゼントは怒鳴り散らしながら印を結ぶ。 「ラナンキュラス!」 「了解!」  ゼロは叫ぶと猛然と走り出す。  ラナンキュラスはその場で腰を落として、左腕を斜め下に構えて右拳を引く。 「オン・カシャバタラ・キルヒドウ・ソワ……?」  クレゼントの動きが一瞬固まった。  レッド・インパルスの初撃を、平然と対応できる人間はそうはいない。 「心意象合拳・空鎖功!」  不可視の気功波がクレゼントを襲う。  枯木の様な身体はいとも簡単に吹き飛んだ。  それに平走するようにゼロが追い駆ける。  両手を振るうと、袖口から白銀の布が飛び出した。  絡め取られたクレゼントはそのまま、梃子の原理で地面に激突する。 「砕け散れ」  ゼロが両手を引く。  まるで枯木を折るような、軽い破砕音と共にクレゼントの身体は圧し潰れた。  四肢と胴体を砕かれた姿は、干からびた芋虫のようである。
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