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「幾ら能力が強力でも、所詮は魔道士。 呪文さえ唱えられなければどうと言う事はない」
ゼロは不敵に笑う。
しかし――クレゼントは身体を潰されても、平然とした顔でゼロを見つめた。
いや、正確にはそちらを向いただけだ。レッド・インパルスは今だ健在である。
クレゼントは口を大きく開くと、黒い霧を吐き出した。
「?!」
何か危険を察知したのか、ゼロは布を解いて後方に跳躍する。
五メートル程後に着地した足がよろめいた。
口を抑えて片膝をつく。
「これは……毒のブレス……」
ゼロの顔色が青ざめていく。
制止眼の魔人の毒も抜けていない状態で、二度目の毒は致命的だ。
「ふん……ナウマク・サウマンダ・ボダナン・オン・ボロン」
クレゼントの身体がまるでバネ仕掛けの様に立ち上がる。
異様な軋み音を立てながら四肢が元に戻っていく。
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