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干からびた腕を振るうと死霊達がゼロに猛進する。
走り寄るゼロの身体を死霊達は一瞬で貫いた。
いや、正確には摺り抜けたが正しいだろう。
「おっ?!」
と、声を上げたのはラナンキュラスだ。
何故ならばゼロの身体が霧と化したからである。
クレゼントはラナンキュラスの声を不振に思いながらも、目が見えないので状況が理解出来ない。
漂う霧がクレゼントを越えて、クラインの壷の前に集まるとゼロに姿を変えた。
「姫! お下がりを!」
ゼロの言葉にパリキスは直ぐに従い、血の海に飛び込むと一番奥に移動する。
「はあ!!」
ゼロが渾身の力で硝子に拳を打ち込む。
吸血鬼の腕力はオーガ等の鬼族に匹敵する。
鈍い音が響く。
硝子に血飛沫が着いた。ゼロの拳は砕けていた。
ゼロの目が微妙に細まる。
クレゼントはその音に気付いて、ようやく背後に振り向く。
「……背後に移動したのか?」
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