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「この楔は、霊体の霊脈穴に引かれて進む特性がある。磁石の様なものだ。そして、刺されば霊気を分解、放出し続ける。さて? 吸血鬼と言えど、霊体が砕けても生き返るのかな?」
ゼロは震える手で何とか楔を握ると一気に引き抜いた。
大量の血が硝子に降り懸かる。
「ほう? 吸血鬼種は心臓を貫かれれば死ぬと聴いていたが…… そうか左胸に寄り過ぎたようだな。実際、心臓は中心よりだったか」
クレゼントはトドメとばかりに掌を向けた。
「今は“目が見える”。今度は外さん。塵と化すがいい」
ラナンキュラスが気絶してしまっては、能力が解除されたのは当然か。
クレゼントの瞳に力が宿る。
その時だった。
かたかたとクラインの壷が揺れ始めたのは。
そのまま、フロア全体が揺れ始める。
「何んだ?!」
クレゼントの声は、回廊から轟く爆音で掻き消された。
響く振動と共に大量の爆煙がドアから吹き込まれる。
三人の視線は出入口に注がれた。
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