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頼もしい筈の援軍から出ている鬼気は、体感温度を数度下げるには十分な殺意を纏っている。
「馬鹿な?! 貴様は死に体だったはず」
クレゼントは現れたガルンを見て顔を歪ませた。
全身血まみれの姿はリビングデッド顔負けである。
手にした刀から溢れる水の球だけが鮮明な輝きを放ち、それが蝶に変貌していく様は非常にシュールな光景だ。
禍々しい気配にパリキスは悲痛な表情を浮かべた。
「ガルン。お主は……その選択をとったのか……」
呟くパリキスの手にゼロは優しく触れると、
「姫。ここは彼に任せて脱出します」
と、言って王女を軽やかに抱き起こした。
パリキス姫の表情が強張る。
「待て、ガルン一人では無理であろう? アズマリアと協力すればあの者を止められるかも知れん」
それを聞いてゼロは首を振った。
「今の私では、あの不死者は滅ぼしきれない。ここは退きます」
有無も言わさず宣言すると、ゼロはパリキス王女を抱えて出口に走り出す。
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