第十三章 忌み子の姫 終詞

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「お前の武器、本当に強力だな? お前自身にも大層効くようだ」  ガルンが投げ付けたのは、クレゼントに撃ち込まれた楔だったのだ。 「忌ま忌ましい。魔神への生贄になどしようとせずに、あの場でトドメを指しておくべきだったわ」  クレゼントは素早く印を組んでマントラを唱える。  ガルンは手にした蝶白夢を構えるどころか、刀身を背の鞘に閉まってしまった。  無手である。  クレゼントは怪しみながらも、死霊を呼び起こす。  何をされようが、死霊には物理防御は意味を成さない。 「今度こそ死ね! 怨霊呪咆!」  死霊が次々にガルンに襲い掛かる。  ガルンは避けるそぶりも見せずに、今度はゆっくりとダークブレイズを抜き放った。  ゆっくりと。  当然、何の対処も出来ずに全ての死霊を食らう。  ガルンは受けた衝撃のためか、倒れそうな程のけ反った。 「たわいもない」  クレゼントはにんまりと満面の笑みを浮かべた。  その瞬間、爆音が轟いた。
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