第十三章 忌み子の姫 終詞

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 一瞬でダークブレイズから蒼い炎が猛々しく溢れ出したのだ。  輝く蒼い光は、全てを飲み込むような静謐な輝きを放っている。  周りに浮かぶ青い蝶と合間って、軽いスペクタクルを生んでいるようだ。  その中心で、ガルンはのけ反った状態をゆっくりと元に戻す。  病的に顔色が悪い。  口の両端を吊り上げて笑う姿は吸血鬼も顔負けだ。 「無駄だ。死霊は……もう効かない」 「何だと?!」 「俺が“喰い漁る”から、だ」  言葉の意味が分からず、クレゼントは押し黙った。  ガルンはゼロの言葉を思い出して苦笑する。 『お前からは、何故か我らと同じ匂いがする。表現しにくいが ……命を取り込み糧とする何か別の異質な気配が』  その吸血鬼の言葉がヒントであった。  自らの可能性と呼ぶものだったのか、はたまた、自らの業と呼ぶべきものだったのかは分からない。 (吸血鬼の直感と言うものか……。それとも、熟練の考察力か……)
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