第十三章 忌み子の姫 終詞

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 ガルンは不敵に笑う。 「今の俺は死が満ちる程強い。貴様に勝利は無い」 「何をほざくか小僧! 人間が死者に勝てると想うな!」  クレゼントの死霊がガルンに向かう。  ガルンは大きく魔剣を振りかぶった。  防御行動は捨てた動きだ。  死霊の群れが、ガルンの身体を貫くように突き刺さる。  ガルンの身体が震えた。 「おっおおお!」  雄叫びと共にダークブレイズが光り輝く。  蒼い炎が白く変色した時には、魔剣の炎は酷く禍々しいもの変貌していた。  唖然とクレゼントは、白から黒色まで変化した炎を見つめる。  揺らめく焔は、闇が詰まったような邪悪な波動を醸し出していた。 「なっ?! 何だそれは……。貴様、一体何をした」  ガルンは笑みは歪みきり、狂気なような形相を浮かべていた。  目元も引き攣っている様にも見える。 「なぁ~に。地獄の底で、死者の“幽体喰い”をしただけさ。クフルは生者以外は不浄だとか言っていた気がすが……。今更、俺は穢れようが関係ないからな」
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