224人が本棚に入れています
本棚に追加
/1315ページ
ガルンの現在の“病んだ回復力”は死者の幽体を喰い漁った結果だったのだ。
そう、ガルンは攻撃してきた死霊の幽体すら喰らっていたのである。
死霊を“幽体喰い”の能力で捕獲し、咀嚼し、分解。チャクラ穴に無理矢理取り込み練り潰す。
後はチャクラで幽体を霊気に変換してしまえば、全て自分の力として還元可能なのだ。
惜しむべきは、不浄の霊ゆえか、そのままでは霊威力生成には使えない事ぐらいであろう。
しかし、ガルンは気付いていない。この行為により、自らの存在が酷く歪んでいく事を。
「この純度の炎は、練り上げるのに本来かなり力が必要なんだが……。お前のお陰で一瞬だ」
そう呟くとガルンは魔剣を振り下ろす。
黒い焔は火山灰のような、妙な散り方をしながら降り注いだ。
クレゼントは咄嗟に身を引いた。
不死身にとって、炎などは体表を焼く程度のものでしか無い。
しかし、不死者になって失った危機感が、深層心理に残る恐怖が身体を付き動かしたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!