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だが、避けた筈の右手に焔が掠める。
その瞬間、右手が一瞬で蒸発した。
「ぎゅあ?!!」
カエルが潰れたようなぶざまな声を上げて尻餅をつく。
「何だこの焔は?! 痛い、イタイ?! 馬鹿な、痛覚は既に切り離している! これは痛みでは無いはず?? 何だと言うのだ!」
傷口に残った焔が、ゆっくりと腕を燃やしながら浸食して来る感覚。
「なんだこの焔?!」
痛みと共に黒い焔が腕を蝕んでいく。
肘まで燃え尽きて、ようやくクレゼントは恐怖につき動かされた。
左手を右肩付近に当てて、人面口から楔を撃ち放つ。
射出した威力で右腕は吹き飛んだ。
だか、千切れた先から不死族の超スピードの再生力で腕が瞬く間に蘇っていく。
それを見て、クレゼントの表情はホッとしてからニヤつきに変わり、驚愕に変わった。
腕に焼き付く痛みが残る。
腕は肘までしか再生していなかった。
「……?! なっ! なんだこれは! どういう事だ!」
茫然と失われた腕先を見つめる。
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