第十三章 忌み子の姫 終詞

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 だが、避けた筈の右手に焔が掠める。  その瞬間、右手が一瞬で蒸発した。 「ぎゅあ?!!」  カエルが潰れたようなぶざまな声を上げて尻餅をつく。 「何だこの焔は?! 痛い、イタイ?! 馬鹿な、痛覚は既に切り離している! これは痛みでは無いはず?? 何だと言うのだ!」  傷口に残った焔が、ゆっくりと腕を燃やしながら浸食して来る感覚。 「なんだこの焔?!」  痛みと共に黒い焔が腕を蝕んでいく。  肘まで燃え尽きて、ようやくクレゼントは恐怖につき動かされた。  左手を右肩付近に当てて、人面口から楔を撃ち放つ。  射出した威力で右腕は吹き飛んだ。  だか、千切れた先から不死族の超スピードの再生力で腕が瞬く間に蘇っていく。  それを見て、クレゼントの表情はホッとしてからニヤつきに変わり、驚愕に変わった。  腕に焼き付く痛みが残る。  腕は肘までしか再生していなかった。 「……?! なっ! なんだこれは! どういう事だ!」  茫然と失われた腕先を見つめる。
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