第十三章 忌み子の姫 終詞

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 自律して敵を襲う死霊だけはガルンを捉えていたが、一撃目の避けた筈の純黒の炎が、何故か右腕に触れていたのは精神汚染の作用の為である。  始めから見当違いのズレた戦闘を強いられている事に、最後まで気付かなかったのがクレゼントの敗因であろう。  ガルンはラナンキュラスのレッドインパルスの経験から、魔眼使いの眼を塞ぐのが一番優位性が高い攻略法だと理解していた。  その為、室内に魔人がいる可能性を考慮して蝶白夢を使っていたのだが、それが功を奏したと言えよう。  的外れの攻撃を行っているクレゼントを横目に、ガルンは純黒の炎を練り上げて倒したのだった。 「さてと。姫さんのエスコートに回らないとな」  ガルンは歩き出そうとしてバランスを崩した。  視界が揺れる。  疲弊したチャクラの何個かが、止まってしまっているのを感じた。  純黒の炎を練り上げるのに力を使い果たしたのだ。 「これは……後先を考えないと……マズイな。純黒の炎は精神力を使い過ぎる。何発か使ったら……精神が枯渇してしま……う」
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