第十三章 忌み子の姫 終詞

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 片膝をついて毒づく。  膝が震えて立ち上がる力すら出ない。 「おっ! いたいた」  通路から軽い声がかかる。  振り向くとネーブルとグレイ、白き銀嶺が室内に入って来る所だった。何故かハオロンもいる。 「なんだ、あのヤバイ大穴? 特大の火葬場か?」  グレイは敵がいないのを確認してから双剣をしまう。 「首謀者はどーしたんだよ?」  ネーブルの質問は尤もだ。首謀者は影も形も無い。クレゼントは灰すら残らず消え去った分けだが、死体も無いと流石に不自然極まりない。  後には生々しい戦闘痕だけが室内に残っている。 「跡形無く燃やし尽くした。灰も無い。それより姫さんは?」 「王宮近衛のねーちゃんが連れてった。団長と隊長、アビスの奴が護衛中だ。ライザックはラナンキュラスの治療中。俺達は首謀者の捕縛か抹殺で来させられたって感じだが……」  グレイはガルンの真横に歩み寄ると、肩を貸して立ち上がらせた。 「それより、そこの亜人ぽいねえーちゃんは何者だ?」
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