第十三章 忌み子の姫 終詞

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 小声でボソリと囁くと、チラリと白き銀嶺を見る。 「ドラゴンニュート……だったか?」 「竜人族?! ……いや、違う違う、こいつが何者かって事だ」  ガルンは少し押し黙った。  客観的に見ると、白き銀嶺は姫を拉致した一味の一人に当たる。  操られていたでは弁明にならない能性が高いだろう。  正直に話すのは得策とは思えない。 「ここの一味に拉致されていた一人だ。助け出したら協力してくれたって所だな」  ガルンはそう呟くと白き銀嶺を見つめた。  それが聞こえたのか、白き銀嶺は空いているガルンの片側に回ると肩を貸す。 「拾われた命だ。我の命は貴公に預ける。罪を裁かれる時は甘んじて受けよう」 「……多分それは無い」  ガルンは遠くを見つめながら呟く。 「あの姫さんは、そう言う事には……しないと思う」  その表情を見て白き銀嶺は小さく微笑した。 「そうだな。我もそう思う」  白き銀嶺の頷きを見て、ガルンも顔を綻ばせる。 「……なんだお前ら! 内輪ネタで笑ってんな! きしょい」
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