第十三章 忌み子の姫 終詞

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 ハオロンはワナワナと多節鞭を震わす。本気で怒っているのか、顔が引き攣っているのはご愛嬌だ。 「まあ、とりあえず、ガルンはグループから独断で抜けた。お前が奢るのは確定な」  ネーブルは悪童のように笑う。 「そうだな、それだけは決定事項だ。今夜はお前の奢りな? ライザックのおっさんも呼ぼう」  グレイもしたり顔だ。  ガルンは目を伏せて、微笑して両手を上げた。 「了解だ。今回は全面的に俺の独断専行だった。俺の一人負けだ」  それからガルン達が塔を脱出したのは二時間後である。  後には、煙に捲かれて奇妙な煙突とか化した幽宮の塔だけが残った。
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