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メルテシオンの城下街。外れの一角は喧騒に包まれていた。
酒場が密集した地域で、余り治安はよろしく無い。もっぱら使用しているのが黒鍵騎士団やゴロツキなので、皆、臑に傷がある者ばかりだ。
「たあー! ただ酒うめぇー!」
『隼の群れ亭』と言う老舗の酒場で、一気にジョッキを傾けてネーブルは上機嫌で騒いでいる。
メルテシオンの元服は十四歳であり、飲酒も可能な年齢はクリアーしているが、子供がはしゃいでいるようにしか見えない。
大テーブルを囲んでいるのは、ガルン、ネーブル、グレイ、ライザック、ハオロン、それに白き銀嶺の六人だ。
陽気に騒いでいるテーブルで、ガルンは一人渋い顔でジョッキを眺めていた。
アルコールと言うものを摂取した事が無いガルンには、珍妙な飲み物でしかない。
飲まされているのは麦芽を主原料として醸造した、炭酸ガスを含むアルコール飲料と言う漠然とした印象しかない。
「なんだ? お前、酒も呑めないのかよ」
既に出来上がっているネーブルがケタケタ笑う。
「お前、今まで一回も飲みに付き合わなかったのは下戸だからか?」
「情けないガキめ! 酒盛りなら俺の圧勝のようだな」
グレイの言葉にハオロンの馬鹿笑いが続く。
ガルンはチビチビ酒を啜って顔をしかめた。
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