プロローグ

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「奴は竜種の咆哮と同じ、何か恐怖(フィアー)を及ぼす鬼気があります。味方だった自分も常に殺される恐怖を感じていました。アレはダメだ。戦う相手ではない! あれと戦うぐらいなら悪魔と戦う方がマシだ! そうだ、あんなものと戦いたくない。そうだ! くくく」 「?」 「そうだ、俺はこの危機をアルイック卿に報告しにいこう。私自ら赴けばこの切迫した事態が分かる筈だ……俺は報告しに砦を離れなければ、そう俺は逃げる訳では無い」  副連隊長は不気味な笑いを始めると、そのまま部屋を出ていってしまった。  その様子を見た伝令も逃げるように退室する。 「何だと言うのだ一体!」  机に拳を荒々しく叩きつけると、廃棄処分用のゴミ箱をあさりだす。  そこからくしゃくしゃの紙を取り出した。  ただの紙に走り書きでこう記されていた。 『ナバシの村の護衛を請け負った。  だが、俺は護るのは性に合わない。  ナバシの村に手を出さないと言う公国印つきの誓約書を書け。一日待つ。  返答が無い場合は貴様らを駆逐する。 ガルン・ヴァーミリオン』  手紙の記述日は昨日だ。
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