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俺がソファで待っていると、高橋真理恵がお茶を運んでくる。
テーブルにさっと用意すると、俺の向かいに座る。
「あいにく主人は仕事に出ておりますので、ご用件は私がお伺い致しますわ。」
「大丈夫ですよ。お話を伺いたかったのは奥さんのほうですから。改めまして上野公園署の梶原といいます。」
「警察がうちになんのようですの?」
「…単刀直入にききます。小林タケルくんを知っていますね?」
「…知りませんわ。どなたですの?」
名前を出したとたん、一瞬顔色が変わった。すぐに戻ったが確かに反応があった。
「…そうですか。こちらの調べではあなたがタケル君の母親、と言うことになってるんですがね。」
「何かの間違いじゃありません?私のたち夫婦には子供はおりませんもの。それに聞く家を間違えていらっしゃるわ。うちは小林ではなく、高橋ですもの。」
「…失礼ですが、あなたは一度、離婚なさっていますよね。前の旦那さんとの--」
「あぁ!!忘れていましたわ。これからお友達とお約束がありましたの!お引き取りおねがいします!私は離婚なんかしていないですし、小林タケルなんて子は知りません!」
「…わかりました。これで失礼します。嫌な思いさせてすみませんでした。ご協力感謝します。」
「分かりましたから。早くお帰りください!」
俺は半ば強引に玄関から追い出された。
俺は家から少し離れてから、振りかえる。
奥さん分かりやすいなぁ。こりゃ影山の調べた情報まるっと信じても良さそうだな。
しっかし、美人だけどあんな女のどこがいいのかねぇ~。
「とりあえず報告しとくか」
俺は歩きながら携帯をとりだし、レイにかける。
「…あっもしもし俺だけど、そっちはどうだ?」
「…そうか。いやただの勘だったんだが…ま、うまいこと適材適所になったわけだ。」
「あぁこっちも高橋真理恵に会えたし目的達成だな。…ああ、これから向かう。もう動き出してるから、そこまでかからないと思うぞ…あぁ近くなったらまた連絡する。じぁ後でな。」
レイとの通話を切ると、次は持田の携帯にかける。
「…さて向こうはどうなってるかな…」
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