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----それから十数分後。
飲み会を脱け出してきた、課長がタクシーで駆けつけてくれた。
「お前ら大丈夫か!?」
課長はタクシーを待たせ、駆け寄ってきた。
レイさんのおかげでだいぶ落ち着いた私は微笑んでかえす。
「大丈夫です。すいません来てもらっちゃって…飲み会途中でしたよね?」
「そんなもんどうだっていい!お前さん、ホントに大丈夫なんだな?」
「はい。」
「はぁ…よかったぁ。」
課長は私がしっかりと受け答えできるのを確認すると緊張を解いた。
「…レイも連絡ありがとな。とりあえず詳しいことは明日聞く。今日はもう帰るぞ。…立てるか?」
課長は手を差しのべて言う。私は彼の手につかまって立ち上がる。
「…もう平気そうです。ちゃんと帰れそうですよ。」
「バカヤロ~。寮まで送っていくに決まってるだろ。」
そう言うと彼は私の額を指でこづく。
ヤレヤレといった感じでレイさんが笑う。
「…じゃぁまたな。」
レイさんが軽く手を振って見送ってくれる。
「あっあの…今日はすみませんでした。あと…ありがとうございます。」
「…いや、誘ったのはこっちだし、怖い思いさせて悪かったな。」
「頭は痛かったですけど、怖くはなかったです…おやすみなさい。」
「ああ、おやすみ。」
レイさんと別れて、課長とタクシーに乗る。
課長が運転手に行き先を告げると、タクシーはゆっくり動き出した。
「着いたら起こしてやるから、寝ててもいいぞ?」
彼が来たことで、安心したのか、緊張がとけ体がだるい。私はその言葉に甘えることにした。
「…すみません、よろしくお願いします。」
私はコテンと彼の肩に寄りかかる。
元さんのここ…気持ちいいなぁ…すごく安心する…
私は薄い眠りに入った。
緊張していたからか、安心したからなのか、それとも…
私の頬を一筋の涙が流れ落ちた。
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