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気付けば2月が終わり、暖かい日差しに春の匂いを感じる季節になった。窓の外は今日も申し分ない晴天だ。
しかし僕はといえば、難しい顔でPCとにらめっこをしている。
「就活」なんてしたくもないのに。
せっかく今は春休みなのに。
取り柄はとくになし。長所も短所もありきたり。小学生でも思いつきそうなことしか出てはこない。「自分とは」なんて聞かれたら、飯島健也です。名前で終わる。
そんな僕も、来月から大学4年目である。
そして、来月から就活が始まるのである。
「エントリーシート?書ける気がしません。」
思わずひとりでつぶやいてしまう程、
気が重い。
「なになに?まずは自己分析から…?」
就活サイトとにらめっこしながらまたつぶやく。
春休みに入って人と話す機会が減り、
独り言が増えた気がする。
そして、またつぶやいた。
「俺ってなんだ?なにがしたいんだ?なにができるんだ?」
気づいてしまったらしい。精神的によろしくないが、つぶやきは止まらなかった。
「特にやりたいこともない。できることもない。してきたことはバイトばっかり。」
どうしたものか。
気付かなくて良い、いや、気付きたくなかった事実を目の当たりにして、素晴らしいくらいの焦燥に駆られている。
なんというんだろう、この言いようのない虚無感は。
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