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伊賀忍軍の本拠地篠宮家の長女篠宮あすかは、収集家であった。 北は、骨董から南の珍味までありとあらゆるものをかき集めている。 所謂、コレクターだ。 篠宮あすかの部屋に飾られた品々はどれも高価格で取引されている。 甲冑、火縄、壺などの陶器を含めて九百九十九点。 「あと、一品」 あすかは、様々な宝に囲まれたその中心に南蛮渡りのベッドに寝そべる。 うちぎぬを着重ねた色鮮やかな衣服が、乱れている。 服部の目線が行くのは、はだけた襟の合間から零れそうな胸か。それとも結ぶことを諦めたその艶やかな黒髪の美しさか。
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