転落ディクレッシェンド

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 しかし、笑っているのもいまのうちだろう。もう間もなく、警察官が制止しに現れるだろうから。もうここでゲリラ的なライヴをするのも三回目になる。そろそろ説教とかいうレベルでは収まらないのは明白だった。  善良な市民と実力をもって社会の治安を維持する行政機関。  やっていることに変わりはないのだが、後者がやってきたら笑い事ではないのだ。 ――ということで。 「本当にすみませんでした! さ、空さん、さっさと撤収しましょう!」 「え、ちょっと、海人君、こんなところで屈するというの!?」 「……アンタは何と戦っているんだ」  他二人、尾田元と栗原恵美は慣れたものだ。俺が空と言い争っている間に、楽器を片付けている。  その手際の良さは、アジトを嗅ぎつけられて逃げ出す反乱軍のよう……一体、何に反乱しているのかは知らないが。
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