転落ディクレッシェンド

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 マイクをぶんぶん振り回して嫌がる我らが反乱軍リーダー空さんに、まるで子どもに言い聞かせるような口ぶりで宥める。 「いや、いくら練習が全然できないからってこういう場所で許可なくライヴしちゃ行けないと思いますよ? それにほら、大人にまで注意されちゃったら……」  それを聞いた空さんはドヤ顔で、「あなたは大人にやめろって言われたらやめるの?」と言ったので――、 「はい、やめます」  きっぱりとそう答えておいた。こちらの動揺を誘うつもりだったようなのだが、生憎とそんな屁理屈に付き合うつもりはなかった。 「ということで、歌いたいなら一人で歌ってください。あ、後、そのマイク俺のなんで返してくださいね」  マイクを取り上げて、一人にしたところで、彼女はその気になれば歌い続けたかもしれない。 ――が。 「ぐぬぬぬ、仕方ないわね。今日だけよ?」  犬のように唸って空は不機嫌にそう告げた。いや、今日だけじゃなく、毎日そうしてくれるとありがたいのだが。
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