SS3【かみこさん】

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 わたしはテレビを見ながら言う。 「嫌なニュースばっかだよねぇ? なんかさぁ、どこも大変だよね。まぁ、ね……それが理想なんだろうけど、譲り合い精神なんて今の世界にはないんじゃん」  ひとり分の夕飯を作るのが面倒で買ってきたコンビニの新商品である焼肉弁当は、すでに冷めて、あんまり美味しくない。 「これ味濃いなぁ」  わたしはショートにしている髪を掻きながら、続ける。 「あとで食べてみてよ? 食べかけで悪いけど……ほんとしょっぱいだけだから。肉の味がしないくらい。まあ、コンビニだからこんなもんだと思うけどね。 あっ、そろそろ特集コーナー……えぇ? あのアニメ見るの? どうせ主人公が勝つんじゃない。どう勝つか知りたい? だから、土壇場でなんか起こって……あぁはいはい」  商店街特集を見たかったわたしだが、結局アニメにした。  で、結局わたしの予想通り。 「ほらぁ、言ったじゃん。え? これがいいの? 王道好きなんだねぇ。わたしはもっとライバル側にスポットを当ててもいいと思うんだけどなぁ。あっ、そうそう! そんなストーリーいいよねぇ。脚本家いけんじゃない? かみこさん」  わたしは答えながら、〈かみこさん用の箱〉に長い髪を数本入れた。  そろそろいっぱいになってきたなぁって思う。  黒々としたとても長い髪で、箱の底は全然見えない。  それからシャワーを浴びて、肌のケアをして、「保湿って大変だよねぇ」なんて話しながら、その日もひとりベッドの中に入った。
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