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リコルドの手の中にある本。それが革命軍が生まれた原因…。
「記憶の改竄…!?」
「そう。記憶は感情に大きく影響する。そんな記憶を植え付けられた人々は当然王国を、世界を恨むよね?そこまできたらあとは軽く背中を押すだけ。」
革命軍の真実を口にしたリコルドはため息をついた。
「それにしてもみんな革命を起こしたキッカケが真っ赤な嘘でそれを疑いもしないとは…。ホントみんな馬鹿だね。」
「最低だわ…!」
怒りに震えるアポロの声にキャメルが頷く。
しかしリコルドはその言葉に答えなかった。
「じゃあ僕を殺すかい?僕を殺しても彼らは元に戻らないよ?」
「皆がおかしくなった理由がわかったんだからきっと解決方法はあるはず!!」
「あるだろうねぇ。でも全員を元に戻すのに一体何年…いや何十年かかるだろうねぇ…。」
リコルドは笑いながら答える。しかし目だけは笑っていない。
「ごちゃごちゃと五月蝿いっ!!」
アポロの言葉と同時に彼女の手に持っていたライフルが火を吹く。
その弾道はまっすぐ確実にリコルドの方へ向かうが突如彼の目の前に出現した氷柱が盾となり弾は少年を貫くことができなかった。
「あぶないじゃないか。撃ってくると予想できていたとはいえ…。全くヒヤヒヤさせるじゃないか。」
そう言うもののリコルドの表情には焦りが一切見られない。それどころかこのような状況でも笑っていた。
「ならば私が「そうはさせない!」
キャメルが魔族としての力を解放している最中に声が聞こえた瞬間、床から鋭い刃が彼女の右羽を奪う。
「っーー…!!」
「キャメルちゃん!?」
片羽を失ったキャメルを心配する少女を無視し片羽を奪った黒い騎士団の服を着た女性はリコルドの前に立つ。
「リコルド様。お怪我は?」
「大丈夫だよ。ターニャ。それより彼は。」
「…知りません。」
ターニャは少し眉をひそめ、不機嫌そうに答える。そして二人の少女にめをやる。
「この二人を始末すればいいんですね?」
「ああ。頼むよ。」
ターニャは右手を上に上げると魔方陣が二つ出現し、そこから狼の姿をした使い魔がズルリと現れた。
使い魔の口からは黒い炎が漏れ、今にも襲いかかってきそうだ。
「大丈夫?」
「ええ。ちょっと飛べなくなった程度です。」
そんな会話を交わしたあと二人は敵に目を向けた。
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