第1章

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長野県白馬村のマンションの一室。 部屋のカーテンは閉めきられ、薄暗い部屋の中は荒らされた後のように汚い。 部屋の中心にありちゃぶ台の上に飲みかけのビールと空の空き缶が散乱。 そして壁に掛かる時計は秒針と分針が12で止まっていた。 その下には、20代半ばの女が壁に寄りかかるように座り込んでいた。 そこへインターホンが鳴った。 「美佐子?支度できた?」 美佐子の同僚で同じマンションに住む山田愛が鳴らすが返事がない。 「もう、返事くらいしてよ」 一言物申そうとドアノブに手をかける。 本来美佐子が仕事に一緒に行こうと言ってきたのに! あれ? ガチャ。 簡単に回るドアノブ。 「ちょっと用心しなさいよね。入るわよ?」
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