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同時刻。
「頼む!娘が帰ってないんだ!探してくれ!」
50代半ばのくたびれたスーツを着た男がテーブルに頭を着けて頼み込む姿があった。
「そんなこと言われても困りますよ。娘さんだってもう成人してるんでしょ?」
男の向には、中年太りの警察官が面倒そうに話を流そうとする。
「そ、そうですが、」
男が反論しようとしたところで電話が鳴る。
「こちら生活安全課。あ?殺害?んなのはお前らのだろ?知らねー」
この警察官、やる気がどこにも見えない。
男は深い溜め息を吐いた。
ー警察なんて、信頼した俺がバカだった。
「もういいです」
「だから、俺の範囲じゃねーよ」
電話であーだのこーだの騒ぐ警察官のネームには、寺本 太郎と記されていた。
ー愛。どこへ行ってしまったんだ。
男は苦しそうにネクタイを握った。
山田五郎。山田愛の父である。
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