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高校中退の不安から冗談で漁師になるとか、思いつきで美容師になろうとか考える。
このまま、おばあちゃん家で居候している訳にはいかないし、あの居酒屋の二階でババアと生活するなんてのもごめんだ。
スタートラインが人より後ろになっちゃった分
道に迷った17歳は17歳なりに未来の自分を捜していた。
美容師のお姉さんがドライヤーをかけ終えた。
すっと後ろに下がって鏡の中の私を見て笑顔になった。
「かわいいー」
美容師のお姉さんが大袈裟に言うもんだから私は照れながら
「ありがとうございました」と言った。
縮毛矯正とカットとシャンプーにトリートメント。
支払いは驚きの2万円。
値段を聞いて驚いちゃったんだけど
どうせババアから盗んできた金だしさ。
私が二万円をさしだすと
「有り難うございます」と
美容師のお姉さんは千円札を二枚差し出して
「クーポン使ってもらったことにしましたからね」
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