さようでございますか 佐也加の恋5

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だめだめ、今の私じゃ駄目なんだ。 もっと明るく楽しく綺麗になるんだ。 失っていた青春って言うか ごく普通の女の子になるんだ。 そんなことを考えていたら 美容師が用紙を取りに来た。 「お待たせしました。こちらにどうぞ」 「はい」 私は美容師に案内された席に座った。 美容師はキコキコと椅子のレバーを足で操作して 背が低い私が座った椅子の高さを上げた。 「今日はどのようにされますか?」 「えっと、縮れっ毛なんでストレートパーマをかけたいんですが」 美容師は私の髪先を指で触って言った。 「長さはどうしましょう?」 「前髪が長いので目にかからないようにしたいんですが」 「はい。わかりました。バックはどれぐらいの長さにしましょう?」 「うーん。自分ではわかりませんから、適当に」 「そうですねー自分の後ろは自分で見えないもんね」 私が戸惑い言ったわかりませんを勘違いしたのか、冗談だと思ったようだ。 美容師は思いっきり笑っている。 照れくさくて私も笑った。
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