第1章 “期限付きサイドメニュー引換券”

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 数日たったある日、子供が学校から帰るなり、口を切った。 「ジョナサンの券を鶴田君に貰った。」と。 何でも、たまたま鶴田君がこれジョナサンで貰ったんだけど要らないからあげるとあっさりくれたそうだ。鶴田君は世渡り上手でちょっと腹黒い、憎める奴だが、案外無頓着な所がある。まあ自分が来店する予定がないからだとは思うが。 枚数も失くしたと同じ計4枚。中身こそまったく一致とはいかないが、偶然である。ちなみに、私が失態した券は、グラタンが2枚、フライドポテトが2枚で、鶴田君がくれたのは、フライドポテトが2枚、ドリンク券が1枚、ソフトクリームの券が1枚であった。 思いがけない、プチ*ラッキー。 この数日、体に痛みが来るほどに、自分を責めていたが想定外の形で券が手に入った。  ところがこの晩、夕食後の食器洗いで、重宝していた耐熱ガラスの器が手から滑り落ち あっけなく割れてしまった。 物理学的に言うと、割れそうに無いほどの僅かな衝撃でも、その割れるピンポイントのところが落下時にたまたま接触したのであろう。 結局、 ±0なのかな~(>_<) その騒ぎの記憶も薄れた数か月後、玄関の廊下にいた息子が、引き換え期限を過ぎ、何の効力もなくなったあのお騒がせの「引き換え券」(お騒がせしたのは私だが…)を物の間から見つけたのだった。
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